病院に行くたびに毎回親切にしてくれるかかりつけの医者を飲食店で偶然見たとき、いつもと雰囲気が違い、店員に素っ気ない態度だった。
趣味の先生はいつも厳しいのに、たまたま友達と遊んでいるところを見て、すごい笑顔だった。
このような雰囲気の違いは、日常によく起きていることだ。
なぜ、人はいつもと雰囲気が違うときがあるのだろうか。
今回は、人の表と裏の顔について説明していく。
表と裏の顔
人がいつもとイメージや雰囲気が違うことは、特におかしいな話ではない。
むしろ、医者が患者に話しかけるように店員に優しく話しかけていいたら、違和感があるのではないだろうか。
その反対のときもある。
家族といるときと同じような雰囲気と口調で、会社の上司と会話をしたら、
「社会的常識がまったくない困った人だ」
という評価を受けてしまう。
友人と会話をするようにタメ口で会話をしている営業マンか、敬語口調で会話をする礼儀正しい営業マン。
どちらのほうが良い印象を持てるかと言えば、もちろん礼儀正しい営業マンだろう。
子どもが母親に対して“良い子”になるのにも、関係がある。
子どもは一番身近にいる親に愛情が欲しいと無意識に思っているが、本能のままに行動すると親に怒られ愛情が貰えないと知る。
例えば、自分がオモチャを欲しいからと考えて、店からオモチャを盗もうとすると親に怒られるだろう。
だが、自分が“良い子”になってから、親から愛情を貰えると知ると、良い子を演じ続けるのだ。
同年代の友達からは愛情を求めていないため、親の前にいる自分とは違った仮面をつける。
このような、社会に対応するための顔、社会的役割を持った顔を心理学ではペルソナと言う。
ペルソナとは、ギリシャ語で“仮面”という意味だ。
心理学者カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung)は、人間の“無意識”には個人的無意識と普遍的無意識の二つがあると主張したが、ペルソナは普遍的無意識をとらえる元型の一つだ。
すべての人が多くの仮面を状況ごとに変えているからこそ、社会的に生きていけるのだ。
元型とは、すべての人の心理に共通する無意識のイメージのことをいう。
教師は教師、医者は医者のペルソナを持っているからこそ、人と対立せず、スムーズに進めるのだ。
普遍的無意識の持つ六つの元型
・ペルソナ
社会生活に適応するための表向きの顔。
・シャドウ
無意識のなかに抑圧された、表に出ない人格。
アニマ
男性の無意識のなかの女性イメージ。
アニムス
女性の無意識のなかの男性イメージ。
グレートマザー
無意識のなかの母親像。
すべてを包み込み反面、飲み込み束縛する。
女性の成長の到達点。
オールドワイズマン
あらゆる知識を身につけた仙人のような存在。
男性の成長の到達点。
ペルソナを見分ける
今までの自分自身のことを振り返ってみよう。
家族と過ごしているとき、恋人と過ごしているとき、友達と過ごしているとき、学校や社会にいるとき。
人によってさまざまな仮面を付け替えている。
同じように、あなたの周りにいるすべての人が、たくさんの顔を持っているのが自然なことだ。
まとめ
・ペルソナとは、社会に対応するための顔、社会的役割を持った顔のこと。
・心理学者ユングは、人間の“無意識”には個人的無意識と普遍的無意識の二つがあると主張した。
・ペルソナは普遍的無意識をとらえる元型の一つ。