同じ本をくり返し読むのは何故?
同じ本をくり返し読む人の心理、気になりませんか?
恋愛、SF、ホラー、ミステリー、歴史、ノンフィクション。
世界には様々な本が溢れています。
しかし一回読んだら開かない人、同じ本を何度も読み込む人と、読書スタイルも様々ですよね。
同じ本を飽きずに読み返す人の中には、十年二十年と歳月を重ねている例もあり、その持続力には圧倒されます。
彼らや彼女らは、何故一度読んだ本を読み返すのでしょうか。
その心理を考察してみましょう。
本の再読は新しい魅力の発見に繋がる
本の魅了は再読ごとに感想が変化する所ですね。
これは再読の間隔が空くほどに顕著な現象かもしれません。
最初読んだ時はぴんとこなかった本も、年齢を重ねて自分の立場や価値観が変化すると、理解できるようになります。
全く共感できなかった小説も、主人公の年齢に近付けば途端に共感が増すのと同じですね。
恋愛小説を例に挙げればわかりやすいかもしれません。
主人公が学生で甘酸っぱい初恋を描いた恋愛小説の場合、読者が現役の学生であるのと、初恋が遥か遠くに過ぎ去った中年では感じ方が全く異なります。
また、不倫をテーマにした恋愛小説を女性が読む場合、家庭を守る妻の目線で詠むか、現実に不倫をしている女性の目線で読むかで印象は変わるのではないでしょうか。
人間は成長します。
本から受ける印象も自分の立場や価値観の変化に左右される為、再読するごとに新しい発見があるのが醍醐味ではないでしょうか。
本を読み返す人は効率を求める
本の長所はその再読性にあると言えます。
現在はインターネットによる情報収集が主流ですが、インターネットの世界はドッグイヤーと呼ばれるほど移り変わりが激しく、つい先日まで存在したサイトが消滅していることも珍しくありません。
その点本は手元にあれば何度でも読み返せますし、栞さえ挟んでいれば特定のページを探すのも簡単です。
同じ本をくり返し読む人は逆説的に効率を重視する傾向にあるのではないでしょうか。
いくらスマホやパソコンの検索が速くて容易とはいえ、手に馴染んだ本の索引には負けますよね。
再読主義者は恋愛に一途な保守派?
同じ本を読み返す人の多くは保守的な性格です。
これは恋愛にも言えますが、浅く広く乱読するよりもとことん惚れこんだ一冊を読み返すのは、一途さの表れではないでしょうか。
SNSでバズる、あるいは映像化が決定し、ニュースで取り上げられたベストセラーには普段本を読まない人々も群がります。
そんな話題性抜群の本が凄まじいスピードで消費されていく中、彼らは世間の風潮に目もくれず、自分が愛する本だけを読み返していました。
広く浅く不特定に手を出さず、狭く深く一冊を掘り下げていくのが彼らのスタイルです。
恋愛面でもこれと決めた相手に情熱を傾け尽くすであろうことは、想像に難くありません。
男女の関係にたとえればわかりやすいのではないでしょうか。
出会った時、付き合い始め、同棲中、新婚時代、倦怠期と彼らの関係は次々変化していきます。
共に障害を乗り越え年月を重ねていく中でパートナーの新たな一面を知り、さらに絆を強めていくのが夫婦の理想の姿だとすれば、読者と本にも同じことが言えるのではないでしょうか。
再読は彼らにとって、自分の成長を自覚する試験紙になるのかもしれません。
パートナーは固定したまま、その本質をさらに深く正しく知っていくのが再読主義者たちの喜びなのです。
浮気をしない人と恋愛したければ、同じ本を何度も読み返す異性をさがしてみてはいかがでしょうか。