日本では字のごとく、妻を愛してやまない旦那さんのことを「愛妻家」と呼び、妻に頭の上がらない旦那を「恐妻家」と呼びます。
一方で、なんとなく両者に対して反対の意味。
そのようなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、それは間違いです。
「愛妻家」と「恐妻家」に、相反する意味はありません。
そこでここでは、勘違いしやすい「愛妻家」と「恐妻家」がそもそもどんな意味を持つ言葉で、両者の違いを徹底紹介します。
使い方を間違えて変な思いをしないためにも、ぜひチェックしてみてください。
愛妻家とは?
愛妻家の読みは、「あいさいか」です。
妻を愛し大事にすることを意味する「愛妻」という熟語に、そのような性向が強い人を意味する「家」の漢字を付け足すことから生まれた言葉です。
そして、その成り立ち通り、妻に対する恋愛感情を失わず、非常に大事にしている夫を意味する言葉こそが、「愛妻家(あいさいか)」と言えます。
そのため、愛妻家という表現は、他人が人を称賛する言葉として、あるいは自らの愛妻である性質を自慢する言葉として使われるのが一般的です。
また、特に妻を深く愛している事実を第三者に対してオープンにしていて、かつ、長年の結婚生活を通してもその愛情が変わることのない人を表現する言葉として使われることが多いのも、「愛妻家」という言葉の特徴です。
要は、結婚したばかりの恋愛の延長線感が強い新婚夫婦に対して愛妻家という表現はあまり使いません。
長年連れ添っても恋愛関係を維持できている夫婦を称賛する言葉としてのみ使われます。
一方で、ポジティブなイメージの言葉なので、積極的に他人に使って問題ない言葉です。
パートナーのことを長年とても大切にしている人に出会ったら、「愛妻家」と言う表現で称賛する気持ちを伝えましょう。
恐妻家とは?
恐妻家の読みは、「きょうさいか」です。
愛妻家同様、妻のことを恐れていることを意味する「恐妻」に、その様の状態でいることを意味する「家」を合わせることで生まれた言葉です。
そして、字のごとく、妻を恐れていて、頭が上がらない状態の夫を意味します。
要は、家庭内の立場が夫より妻のほうが強く、その主張に夫が逆らえない。
そのような夫婦関係となっている夫のことを、「恐妻家」と表現します。
ただ、必ずしも妻に虐げられるような上下関係が2人の間にあるとは限りません。
愛妻家ほどポジティブな意味はないものの、男性が冗談として使うことが多い表現です。
また、恐妻家だからといって夫婦の仲が悪いと捉える必要はありません。
仲は良いけど恐妻家。
そして、その恐妻家であることが、良い夫婦関係を保つ秘訣になっているケースも多くあるためです。
愛妻家と恐妻家の違いは?
「愛妻家」も「恐妻家」も、夫側の性質を意味する言葉であることは共通です。
一方で、その性質の中身は全く違います。
結婚後も妻に恋愛感情を持ち続け人一倍大事にする人は愛妻家、一方で妻の尻にひかれて頭が上がらない状態にある人を表すのが恐妻家です。
要は、夫の性質を表すところは共通ですが、意味が全く違います。
愛妻家かつ恐妻家ということもあり得る?
愛妻家と恐妻家は、対義語ではありません。
愛妻家の反対、要は妻を愛していない夫をずばり表現する言葉はないものの、近い表現としては、仮面夫婦などが該当します。
一方で、妻を恐れている恐妻家の反対は、亭主関白です。
そのため、亭主関白で恐妻家である夫というものは世の中に存在しえません。
ただ、反対の関係にない「愛妻家」かつ「恐妻家」な夫というものは存在しえます。
妻のことは大好きだけど、怒らせると怖いから常に妻の顔色を伺って生活をしている。
たくましくてパワフルな妻のことが大好きで恋愛感情はずっとあるけど、言われるがまま尻に敷かれているのが安心するけど怖くもある。
そのような夫は、愛妻家かつ恐妻家と呼ぶにふさわしい存在です。
不思議に聞こえる表現ですが、基本的に妻のことが大好きとなったら、とても微笑まし関係と言えます。
まとめ
愛妻家(あいさいか)は、妻のことを愛してやまない夫のことです。
一方で、恐妻家(きょうさいか)は、妻を恐れ頭があがらない夫のことを意味します。
ただ、両者は対義語ではありません。
全く異なる夫の性質を表す言葉に過ぎません。
そのため、世の中には愛妻家で恐妻家という旦那さんもたくさん存在します。
そしてその恋愛関係が、夫婦仲を良好に保つ秘訣になっていることも多くあります。