
対人関係の物理的な距離は、相手との関係性によって大きく変わっていく。自分が勤めている会社の部下との間にとる距離、仲の良い友人なら許せられる距離、恋人や夫婦にしか近づけない距離、これらは全て違う。
こうした人と人との距離について、人類学者のホールは、人は自分の周りに四つのヒューマン・スペースを持っていると言っている。
今回は、ヒューマン・スペースについて説明していく。
ヒューマン・スペース
公的ゾーン(3.3m以上)
まったく関係ない人との距離。個人的な関係はない、知らない人との距離。
公的スペースにいる他人。
社会的ゾーン(1.2〜3.3m)
フォーマルレベル。
あまり親しくない知人レベル。勤めている会社の上司や学校や会社の顔見知りの人など。
対人的ゾーン(0.6〜1.2m)
プライベートレベル。
手を伸ばせば届く距離。少し仲の良い友人や友達など。
親密ゾーン(0.6m以内)
接触レベル。
心と体の、両方とも触れあうことをお互いに許し合っている距離。好きな恋人や将来を約束した夫婦など。
距離の違和感
このすべては自分を守るテリトリーのようなもので、その範囲を許さない人が勝手に入ってきたら、違和感や不快感を覚える。
例えば人が密集している満員の電車などで、見知らぬ人が親密ゾーンに入り込んでくると、嫌な気分になる。このような心理があるため、他人と近づかなくてはならない満員電車は苦痛になるのだ。
だが、恋人や夫婦などのパートナーが相手だと、ヒューマン・スペースへの意識が働かなくなる。
とても近い距離にいようが不快な気持ちにはならないため、抵抗感がなくなるのだ。
もし、片思いをしている異性と、もう一歩を踏み出したいと考えているなら、わざと親密ゾーンまで入ってみよう。相手が違和感なくその距離を受け入れてくれたなら、カップルになれる可能性はじゅうぶんにある。
まとめ
対人関係の距離について、人類学者のホールは自分の周りにヒューマン・スペースを持っていると言う。
ヒューマン・スペースは公的ゾーン、社会的ゾーン、対人的ゾーン、親密ゾーンの四つがある。