寝る前や眠りにつく瞬間に、自分の舌を吸う。
あるいは、無意識に舌を上あごに押し付けたり、口の中で吸うような動きをする。
こうした行動は意外と珍しくありません。
しかし、なぜ人は眠るときにそのような動きをするのでしょうか。
それは単なる癖なのでしょうか。
それとも、心の状態と関係があるのでしょうか。
ここでは、寝る時に舌を吸う人の心理を、安心欲求やストレス、幼少期の習慣といった観点から掘り下げていきます。
① 安心感を求める自己鎮静行動
舌を吸う動きは、赤ちゃんが母乳を飲むときの動きに似ています。
心理学では、こうした動作を自己鎮静行動と呼ぶことがあります。
自己鎮静とは、自分で自分を落ち着かせる行動のことです。
人は不安や緊張を感じると、無意識に安心できる動きを探します。
- 指を口に入れる
- 唇を噛む
- 毛布を握る
舌を吸う行為も、その延長線上にあります。
眠る前は、意識が緩み、日中に抑えていた感情が浮かびやすくなる時間帯です。
そのため、無意識に安心感を得ようとする動きが出やすくなります。
舌を吸うことで、微細な圧力やリズムが生まれます。
その感覚が、心を静める役割を果たしている可能性があります。
② 幼少期の名残である可能性
舌を吸う動作は、幼少期の癖が残っている場合もあります。
幼い頃、指しゃぶりや毛布を口に含む癖があった人は、成長後も似たような口腔刺激を求めることがあります。
これは退行というよりも、身体が覚えている安心の記憶に近いものです。
人は幼少期に安心を感じた感覚を、無意識に再現しようとします。
眠るという行為は、無防備になることでもあります。
そのため、心が過去の安心パターンを呼び起こしやすいのです。
特に、日中に緊張が多い人ほど、このような習慣が残りやすい傾向があります。
③ ストレスや不安の蓄積
舌を吸う行為は、ストレスと関連していることもあります。
強い不安や緊張が続いているとき、人は身体のどこかを使って緊張を逃がそうとします。
- 爪を噛む
- 唇をいじる
- 足を揺らす
これらと同様に、舌を吸う動きもストレス発散の一種である可能性があります。
特に寝る前は、考え事が止まりにくい時間帯です。
頭の中が落ち着かないとき、身体が代わりにリズムを作り、安心を得ようとします。
舌の動きが呼吸と連動することで、自然とリラックス状態に近づくこともあります。
そのため、本人は自覚していなくても、身体が緊張を緩めようとしている場合があります。
④ 口腔刺激によるリラックス効果
口の中は神経が非常に敏感な部位です。
舌や口腔内への刺激は、脳に直接的な安心信号を送りやすいとされています。
舌を吸うことで、一定の圧力と感覚刺激が生まれます。
それが副交感神経を優位にし、眠りやすい状態を作ることがあります。
リズムのある小さな刺激は、単純であるほど効果的です。
音楽のリズムや呼吸法と同じように、一定の繰り返しは心を落ち着かせます。
舌を吸う行為は、個人的に編み出されたリラックス方法である可能性もあります。
⑤ 愛着スタイルとの関係
心理学では、人の対人関係の傾向を愛着スタイルと呼びます。
不安型の傾向がある人は、安心感を強く求める特徴があります。
寝るときに舌を吸う行動は、そうした安心欲求の強さと関連している可能性があります。
日中は自立的に振る舞っていても、無意識では安心を求めている。
その欲求が、身体の小さな動きとして現れることがあります。
ただし、必ずしも問題があるわけではありません。
それは単に、自分なりの安心スイッチを持っているということでもあります。
⑥ 無意識の習慣化
最初はストレス対策や安心のためだった行動が、やがて無意識の習慣になることもあります。
習慣は繰り返すことで定着します。
寝る前に毎回同じ動きをしていると、それが入眠の合図になります。
つまり、舌を吸う行為が眠りのスイッチになっている可能性があります。
この場合、特別な心理的問題があるわけではありません。
身体が覚えた入眠ルーティンの一部になっているだけです。
まとめ
寝る時に舌を吸う人の心理は、一つではありません。
- 安心を求める気持ち
- 幼少期の記憶
- ストレスの発散
口腔刺激によるリラックス効果。
それらが重なっている可能性があります。
大切なのは、その行為自体を過度に問題視しないことです。
それが生活や健康に大きな影響を与えていないのであれば、自分なりの安心方法とも言えます。
もし不安やストレスが強いと感じるなら、舌以外のリラックス方法を増やしてみるのも一つの選択です。
身体は、常に心を守ろうとしています。
そのサインとして、この習慣が現れているのかもしれません。
