“安心感”で始まった恋にときめきを求めてしまう私へ
優しい。誠実。居心地がいい――それでも、どこか物足りない。
「一緒にいると落ち着くし、ちゃんと大切にしてくれてる」
「だけど……なんでだろう。胸が高鳴る感じがない」
「こんなふうに思ってしまう私は、わがままなのかな?」
そう思ってしまったあなたへ。
恋の始まりが「安心感」だった場合、
やがて心に「ときめきがない」という不安が生まれることがあります。
まるで、おだやかな湖のような関係の中に、
“波”を求めてしまうような感覚。
今回は、安心感で始まった恋とときめきの関係について、
心の仕組みと共にやさしく解説していきます。
ときめきとは何か? 安心感とはどう違うのか
まず、ときめきとは何かを明確にしておきましょう。
ときめきとは、「相手が自分の手に届くかどうか分からないとき」に最も感じやすい感情です。
たとえば:
– 相手の気持ちが読めない
– 距離が縮まりそうで縮まらない
– ふいに優しくされて心が揺れる
このような、“不安定さ”や“予測不能な変化”の中にあるドキドキが「ときめき」です。
一方で、安心感は真逆の位置にあります。
– 毎日連絡をくれる
– 感情の波が少なく、穏やか
– 変わらずそばにいてくれる
つまりときめき=不安定×刺激、安心感=安定×ぬくもりとも言えます。
この2つの感情は、どちらも恋愛には必要ですが、同時に100%感じ続けるのは難しいという性質もあるのです。
なぜ“安心感”で始まった恋に物足りなさを感じるのか
では、どうして「安心できる相手」との恋に、ときめきを求めたくなるのでしょうか。
その理由は大きく3つあります。
①「恋=ドキドキするもの」という思い込み
私たちは、小説やドラマ、恋愛映画などで、
恋愛とは「心がかき乱されるもの」「何かが燃え上がるもの」といったイメージを刷り込まれています。
そのため、「落ち着いていて刺激が少ない恋」に出会ったとき、
「これって本当に恋なの?」と違和感を抱いてしまうことがあります。
でも、実は“安定感”から始まる恋のほうが、長く続きやすいことが多いんです。
②刺激に慣れている“恋愛体質”の影響
過去に“追いかける恋”や“報われない恋”を経験してきた人ほど、
恋の始まりに「駆け引き」や「心の揺れ」を求めがちです。
そのため、安心できる相手に出会ったとき、
“心が揺れない=好きじゃないのかも”と錯覚してしまいます。
これは、刺激に慣れた心が“安心”という静けさに物足りなさを感じているだけかもしれません。
③自分が「恋をしている実感」を持ちにくい
ときめきが強いとき、人は「恋してる!」と自覚しやすいですが、
穏やかな恋では、その実感が希薄になることがあります。
しかし、実感が薄い=愛がないわけではありません。
むしろ、穏やかに続く関係こそが“本物の信頼”を育む土台なのです。
安心感のある恋で「ときめき」を感じるには?
「ときめきがない=この恋はダメ」ではありません。
安心感のある恋にも、ドキドキを育てる方法はあります。
①「予定調和」から少しだけ外れてみる
毎週同じようなデート、毎日のルーティンLINE――
そういった“予測可能”な関係に小さな変化を加えてみましょう。
・いつもと違う場所に出かける
・普段言えない想いを伝えてみる
・相手の知らない一面を引き出してみる
こういった小さな「未知の要素」が、ときめきを呼び起こしてくれます。
②「相手を観察する目」を変えてみる
安心できる関係になると、「当たり前」が増えていきます。
でも、よく観察してみると、相手にはまだ知らない魅力や一面が残っているかもしれません。
・ふとした瞬間の笑顔
・意外な趣味や考え方
・自分に見せてくれる優しさ
それらを改めて「発見」する目で見ると、再びときめきを感じやすくなります。
③“自分の心”にもドキドキを与える
恋のときめきを相手にばかり求めるのではなく、
自分自身の生活に刺激を取り入れてみましょう。
・一人旅に出てみる
・新しい趣味を始めてみる
・新しいファッションに挑戦してみる
自分の内側に「ときめく種」が育っていくと、
それが恋愛にも伝わり、関係全体の空気が変わっていきます。
「ときめき」と「安心」は両立できるのか?
結論から言えば、安心感とときめきは両立できます。
ただし、最初からどちらも満点!というケースは少ないものです。
大切なのは、「どちらを先に感じたか」ではなく、
お互いの中に少しずつ育てていけるかという視点です。
最初は安心があっても、
そこに新しい体験や心の交流を重ねていけば、
ちゃんと「ドキッとする瞬間」や「新しい一面に惹かれる感覚」が芽生えてきます。
逆に、最初に強いときめきがあったとしても、
信頼関係や安定感がなければ、その恋は疲れやすくなってしまいます。
まとめ:“物足りなさ”は、愛を深めるチャンスかもしれない
安心感で始まった恋に、ときめきを求めてしまうのは、自然な感情です。
人はいつでも、「心が動く瞬間」に恋の実感を抱きたくなるから。
でも、その物足りなさが、恋の終わりを意味するとは限りません。
むしろ、それはあなたが「この関係をもっと深めたい」と感じている証拠。
“物足りなさ”を否定するのではなく、
それを出発点にして、自分の心と相手の心にもう一歩近づいてみることが大切です。
恋に必要なのは、
ドキドキするような高鳴りだけではありません。
穏やかさ、信頼、尊重、そして、ときめき。
すべてをバランスよく育てていくことが、
「安心」と「ときめき」の両方を感じられる関係につながっていきます。
焦らず、自分のペースで。
あなたの恋が、静かに輝いていくことを願っています。
