
最近、語尾によく「、、、」とつける人を多く見かけませんか?
言葉の最後の部分を濁らせて、沈黙や言葉にしきれない微妙なニュアンスを含ませようとしている表現法のようです。
例えば「明日の学校イヤだな、、、休みたい、、、」といった具合。
「、、、」はどうして生まれたのでしょうか?
書籍などでは、通常「……」のように、3点リーダ2つを組み合わせて表現されるのが通例とされています。
しかし、iPhoneのiOSなど、いくつかの携帯端末では、この3点リーダ「……」が、横書きの下の部分にベタッとくっついて見えてしまうことがあります。
また、「……」と入力するには、予測変換を使う以外には、ナカグロと呼ばれる黒ポチの「・」を3つ並べて変換する必要があります。
このように、とにかく入力が面倒くさいのですね。
類似の表現「・・・」
そこで、ネットではナカグロを3つ並べた「・・・」という表記法が先に見られるようになったと考えられます。
「雨なのに傘わすれた・・・最悪・・・」といった具合。
これなら入力もかんたんですし、「……」のように行の下についてしまう心配もありません。
携帯端末で見ると文字はどうしても小さくなってしまうものなので、全角の「・」は目立ちやすく見逃しにくいというメリットもあります。
「、、、」は、この「・・・」から派生した新しい表現方法であると考えられます。
さらに類似の表現「。。。」
同様の表現に「。。。」もあります。
これは読点「、」ではなく句点「。」を3つ並べたものです。
句点「。」というのは文章を締める役割を持つ文章記号ですから、「。。。」には、そこまででいったん文章が切れるような印象を受けます。
また、「。」の丸の形がポロポロとこぼれる粒の涙にも見えるので、強い悲しみを表わすこともあるようです。
「彼氏にフラれた。。。涙が止まらない。。。」とか、「コンサートのチケット抽選ハズレた。。。会いたかったのに。。。」といった具合。
「、、、」が表わす微妙なニュアンスとは
それに対して、読点「、」には文章を締める役割はなく、文節と文節の間を区切る役割を持つだけなので、「、、、」はまだ文章の続きがあることをイメージさせて、読む人に続きや微妙なニュアンスを想像させます。
また、「。」よりは小さいものの「、」はちょろちょろと流れる涙を表わしているようにも見え、大きく嘆くほどではないけどちょっとだけ悲しい、というニュアンスを込めることもあるようです。
「電車来るまであと15分、、、暇、、、」というような感じです。
さらに、悲しみの度合いに合わせて「、」の数は増減させることもできます。
「人身事故で電車とまっちゃった、、、、最悪、、、、、、」
こうすれば、さらなる悲しみの大きさが伝わってきますよね。
「、、、」を使う人の心理は……究極のものぐさ表現?
さらに、「、、、」には、スマートフォンのフリック入力で入力しやすいという利点があります。
たとえば、iPhoneの日本語入力画面からナカグロ「・」を打とうとすれば、まず画面左手の「ABC」ボタンの位置を2回タップし、続いて「4」の位置から右にフリック入力する手間がかかります。
その点、句点「。」を打つには、画面右下の「、。?!」の位置から左にフリック入力するので「・」よりも圧倒的に楽です。
しかし「、」を打つには、「、。?!」ボタンを一度押すだけでいいのです!
しかも、「、、、」を多用する人なら、必ず予測変換画面に次に打つべき「、、」も出てくるはず。
さらにワンタッチで3つ重ねることができてしまうのです。
これ以上かんたんに入力できる語尾の感情表現は他にありません。
つまり「、。!?」ボタンを左にフリック入力する手間すら省いた急遽の省エネ表現が「、、、」でもあるのです。
「、、、」を使う人の心理は……まとめると、多感だけれど合理的な人かも?
このように、「、、、」には見た目の微妙な悲しさを表現するのと同時に、スマホ世代の画面に対応して見やすく、しかも入力しやすい形になっていることがわかります。
見た目の可愛さや微妙なニュアンスを重視する多感な若い女性らしい表現ですが、一方で、とても理に適った賢いテクニックでもあるのかもしれません。