ドイツ人と結婚するデメリット

「ドイツ人と結婚したら毎日がビールとソーセージとクラシック音楽!」そんなイメージ、どこかにありませんか?たしかに文化的な違いは新鮮ですし、ドイツは教育や社会福祉制度が整った国です。だからといって、すべてがバラ色とは限りません。

今回は、ドイツ人と結婚することで生じる「現実的なデメリット」に焦点を当ててみましょう。もちろん個人差がありますが、「ドイツ人」という国民性に関わる傾向や制度の違いが、時に壁となることがあるのです。

文化の違いは、面白さでもあり、ストレスでもある

「文化の違いって、おもしろいよね」。そう語り合ううちは平和です。ですが、それが毎日の生活に入り込むと、話は別。

たとえば、ドイツでは「はっきりものを言う」のが美徳とされます。「思っていることを伝えないのは失礼」と考える人が多いのです。ところが、日本人にとっては、それが時に「冷たい」「空気が読めない」と映ることがあります。

「なんでそんな言い方をするの?」と感じる場面、出てきます。逆に、あなたが気を使って遠回しに言ったことが、全く伝わっていなかった…なんてこともあるでしょう。

文化とは、生活の前提そのもの。好き嫌いの問題ではなく、「水の温度が違う」ような感覚です。

家族観の違いがすれ違いを生む

日本では、結婚とは「家と家のつながり」だと感じる人がまだ多くいます。一方で、ドイツでは個人主義が強く、「親との距離感」が大きく異なります。

「年に一度会えば十分」「電話もしない」というドイツ人も珍しくありません。反対に、日本の家族との密なやりとりを不思議がられることも。

また、ドイツでは「夫婦は対等」が徹底されており、「家事も育児も完全に50:50であるべき」という考え方が根付いています。いいことのように聞こえますが、それが「どちらかが体調を崩しても譲らない」という冷たさにつながるケースもあります。

「助け合い」という価値観が、少しずれている。そんな瞬間に直面することがあるのです。

言葉の壁は、想像以上に高い

「ドイツ人って英語できるんでしょ?」たしかにそうですが、だからといって全てが英語で済むわけではありません。

特に問題になるのは、子育てや役所関係。ドイツで生活するなら、ビザ・保険・税金など複雑な手続きが待っています。その際、「ドイツ語ができない=社会的な自立が困難」という現実に直面します。

しかも、ドイツの書類文化は日本以上に厳格。書類が1枚足りないだけで、すべての手続きがやり直しになることもザラです。

そして、夫(または妻)が「書類は自分がやるから大丈夫」と言っていても、「言葉がわからない=社会にアクセスできない」というストレスは積み重なっていきます。

遠距離家族と孤独の問題

ドイツに住むとなると、当然ながら日本の家族や友人とは距離が生まれます。最初は「ビデオ通話があるし、大丈夫」と思うかもしれません。

でも、冠婚葬祭や、ちょっとした帰省すら気軽にはできない距離。体調を崩したとき、育児で困ったとき、「誰にも頼れない」という感覚が襲ってくるかもしれません。

しかも、ドイツ人のパートナーは「困ってるなら言えばいいじゃない」と言うかもしれませんが、日本人の私たちは「察してほしい」という文化を背負っています。

言葉に出さなければ気づいてもらえない。そして、言葉に出した時にはすでに手遅れ。そんなすれ違いが、静かに心を蝕んでいくことも。

キャリアや夢との両立が難しい

国際結婚によって拠点がドイツになると、自分のキャリアプランを調整する必要が出てきます。特に、日本で積み重ねてきた専門性が現地で活かせない場合、そのギャップに苦しむ人は少なくありません。

たとえば、日本の国家資格。看護師や保育士、美容師などは、ドイツで同じ職業に就くために「一から学び直す」必要があることも。

自分の夢とパートナーの人生設計。その間で揺れる時間は、意外と長く、深く、重いのです。

価値観の「深層」でぶつかる瞬間

どれだけ言葉が通じていても、通じ合わないことがあります。それは、文化の奥にある「価値観」の違い。

たとえば、ドイツでは「ルールを守る」ことに強い誇りを持ちます。だから、他人の違反にも敏感。「赤信号を渡った人を通報する」なんて話も実際にあります。

一方、日本では「空気を読む」「周囲との調和を大切にする」ことが重視されます。ここに「正しさ」よりも「和」を重んじる価値観があるのです。

つまり、「善意でやったことが、相手には不快だった」という事態が、案外たくさん起きるのです。

それでも、選ぶ理由があるなら

ここまでたっぷりとデメリットを書きました。でも、忘れないでほしいのは、これらはすべて「越えられない壁」ではないということです。

ただ、「恋」から「生活」へと移るとき、見えてくる現実は確かにある。そこから目を背けずに向き合えるかどうかが、国際結婚を幸せにするカギなのだと思います。

だからこそ、結婚前には「文化」「将来設計」「言葉」「家族観」など、あらかじめじっくり話し合うことが大切なのです。